「「ただ」ほど下らないものはない」としたら,Berst,君のコラムほどくだらないものはないことになるね。
価値あるものに無料のものはない。無料インターネットアクセスや,企業向け無料サービスも減る一方だ。名を広め,目を引くための無料サービスだったが,それが最善の事業モデルではなかった。広告と個人情報による無料サンプルもあるが,さて,どの無料サービスが生き残るだろうか。
もし,ナップスターが明日から,利用者「全員」から,たった1ドルでも料金を徴収することにしたらどうなるだろう。たった1ドルだ。それでも,利用者は激減するだろう。つまりは,そういうことだ。この世界には,リアルとは違う価値基準がある。MP3を100万曲手にしても1ドルも払わない人だっているし,逆に無名のコンポーサーの作るMIDIファイルにシェアを払い続けることもあるだろう。くだるものとくだらないものの判断をするのは,個人でしかなくて,権威やマスや大手ではない。だから,リアルとはほど遠い価値基準が必要となる。ZDNet内のMacWIRE ONLINEが,以前は有料メールマガジンだったことをおぼえている人も少ないだろう(過去記事)。スティーブン・キングのテキストに,金を払う人も,実際には少なかった(過去記事)。だが,それに目くじらをたてたいわけぢゃない。それが,この世界のデフォルトなのだ。
そして,もうひとつ考えるべきことがある。自分にとって,価値があるものとは,いったいなんだろうかということだ。世界はおおむね,くだらない。金を払うに値するものなど,少なすぎる。ただ,自分にとって,価値のあるものも存在する。それを大切にする心も,私たちは持ち合わせているはずだ。情報は共有され,流通する。その中で,自分にとって大切なものを見つけていく。懇切なテキスト情報,胸に響く楽曲だけぢゃなく,金を払うに値するアングラ情報やアダルト情報だって,なんだっていい。それを見つけられるかどうか,は,あなたの価値が,この世界に,いるか,いないか,と同義なのだ。
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